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安来市加納美術館で開催された「平和運動開始70年 画家 加納莞蕾 大回顧展」の図録。
カラー図版57点、年表、研究論文3本を含む。
加納莞蕾は、1904年島根県生まれ。青年時代、油彩を学び、フォービスムに影響を受け、独立美術展創始から出品。連続入選。島根県、植民地時代の朝鮮で教員を務めながら、作品制作に励む。日中戦争の際は、中国に従軍画家として派遣され、戦争記録画の作成にも従事した。戦後、郷里に引き上げたのち、島根洋画会の設立に奔走。同時期、元海軍少将古瀬貴季との出会いを契機に、フィリピンBC級戦犯の助命嘆願運動を独自に開始し、当時のフィリピン大統領に直接書簡を送り続けるなど独自に取り組んだ。運動中は画業を中断。フィリピン戦犯釈放後も加納は画壇に戻ることなく、郷里で絵画の制作に取り組み続けた。
本展は、加納の生涯をその作品で振り返る初の回顧展。とりわけ、戦前の油彩作品は近年再発見されたものが多く、本書にも図版が所収されている。
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