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昨年は〈68年5月〉から50周年にあたる年であった。フランス各地では、回顧する催しが各地で開かれた。日本国内でも、多くのシンポジウム・セミナーが開催された。その最大規模の連続セミナーが、京都大学人文科学研究所で行われた「人文研アカデミー 連続セミナー〈68年5月〉と私たち」である。そこで発表された10名の論考を全収録。
50年の時の隔たりと政治的・文化的流行の盛衰を超えて、〈68 年5 月〉の出来事と同時代の思想の双方に触発されながら、現在について考える―― 。
〈68年5 月〉は今、私たちに何を問うているのか。フランス現代思想、政治、哲学、精神分析、歴史、エピステモロジー…… 、10名の論者が、それぞれの専門領域から思考する。
また1968年5月、パリに滞在した西川長夫撮影(西川祐子所蔵)の貴重な写真(「〈68 年5 月〉の原光景」)に詳細な解説を付し、あの時代の雰囲気を今に伝える(グラビア48頁)。
【以下収録論文】
Ⅰ 佐藤 淳二 「〈68年〉から人間の終わりを考える」
Ⅱ 小泉 義之 「〈68年〉以後の共産党― 革命と改良の間で」
Ⅲ 佐藤 嘉幸 「ドゥルーズ=ガタリと〈68年5月〉(1)―『アンチ・オイディプス』、『千のプラトー』をめぐって」
Ⅳ 廣瀬 純 「ドゥルーズ=ガタリと〈68年5月〉(2)―「〈68年5月〉は起こらなかった」読解」
Ⅴ 上尾 真道 「〈68年5月〉と精神医療改革のうねり」
Ⅵ 立木 康介 「〈68年5月〉にラカンはなにを見たか」
Ⅶ 田中 祐理子「学知ってなんだ― エピステモロジーと〈68年〉」
Ⅷ 王寺 賢太 「京大人文研のアルチュセール―〈68年〉前後」
Ⅸ 布施 哲 「偶像の曙光― イギリス「新左翼」についての小論」
Ⅹ 市田 良彦 「〈68年〉のドン・キホーテ」
千葉雅也氏推薦。
「左派も、一枚岩ではない。別の未来を切り開くために、決して単純ではなかった歴史と理論の結び目に、もう一度立ち返らなければならない。」
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