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忍び慕う女心を、琉球舞踊に乗せて――
在米大使館で知り合い結ばれた孝子と大使秘書松田の前に現れた令嬢玲子。訪れる悲しい別離と逆転の結末……海渡る感動の純愛物語
――あなたの袖に移した匂いで、私を思い出してほしい。
恋する女性の心の内面を切々と踊る、女踊りの最高峰「諸屯」。
伝統芸能をアメリカの地でクラシックに乗せて舞った女性が主人公の中編小説。
これまでの孝子の「諸屯」の踊りは、厳しい言い方をすれば、曲に合わせて手足を動かしているだけであった。恋する男にありったけの力で思いを寄せるということは、観念的には分かっていても、熱烈な恋をしたことのない孝子には、実感が伴わないものであった。
それが、松田と付き合うようになって、恋する男への思いというものが体感できるようになった。その心情の変化は、踊りにも反映された。前は心を込めるように自分に言い聞かせ、愛というものを頭で描き踊っていたが、今は愛の実感が胸の中にあり、それを踊りで表現できるようになったのである。
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