呼吸器ジャーナル Vol.67 No.2(2019)

喘息・COPDー病態の多様性の捉えかたと最適な治療選択

呼吸器ジャーナル

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出版社
医学書院
著者名
權寧博
価格
4,400円(本体4,000円+税)
発行年月
2019年5月
判型
A4
ISBN
9784260028950

本邦の喘息ガイドラインにおいて,喘息は「気道の慢性炎症を本態とし,臨床症状として変動性を持った気道狭窄(喘鳴,呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患」と定義されている。一方,COPDは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す疾患」と定義される。いずれの疾患も,発症因子や発症年齢,臨床的特徴,炎症病態,併存症の種類,治療反応性などには大きな多様性があり,疾患を単一のものとして捉え,一様な治療管理を行うことには限界があることが指摘される。
近年,多様性をもった疾患をフェノタイプやエンドタイプというサブグループとして捉え,多様性を病態に即して理解し,治療管理を行うという考え方が広がりつつある。喘息では,近年,臨床に登場した分子標的治療薬やサーモプラスティなどの治療選択において,治療が有効と考えられるフェノタイプ・エンドタイプを同定することが必須となっている。さらに,今後も様々な分子標的薬が登場することが予想され,以前にもまして病態の多様性を把握し,治療を最適化する必要性が高まってくると考えられる。また,COPD治療管理においても,好酸球性炎症が存在する病態をどのように取り扱うか,フェノタイプごとにどのような治療薬の選択を行うべきかなど,治療の最適化への模索がなされている。
 本特集の目的は,喘息とCOPDに関し,フェノタイプの臨床的特徴や同定方法を明確にし,これらに対する治療のアプローチや臨床結果についての最新の研究成果を基に理解することで,読者の日常臨床にこのような概念を反映していただくことにある。また,好酸球性気道炎症を伴うCOPDや喘息・COPDオーバーラップなど,フェノタイプの同定の不確実性や,新たな試みについて読者が理解し,実臨床における混乱を少しでも解消することを目的とする。
 このような本特集の目的のため,喘息やCOPDの診療・研究の第一線にあるエキスパートに執筆をお願いした。また,読者がよりプラクティカルにフェノタイプの分類手法や治療選択を理解できるように,エキスパートによる症例提示とその解説をしていただいた。
 本特集は,呼吸器診療に携わるすべての医師が,喘息とCOPD診療において,画一的な治療から個々に最適な治療の実現にステップアップするための新たな視点を得るのに役立つものであると確信する。

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