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日本橋北詰の魚河岸のほど近く、「丸九」という小さな一膳めし屋がある。
うまいものを知る客たちにも愛される繁盛店だ。たまのごちそうより日々のめしが体をつくるという、
この店を開いた父の教えを守りながら店を切り盛りするのは、今年二十九となったおかみのお高。
たとえばある日の膳は、千住ねぎと薄揚げの熱々のみそ汁、いわしの生姜煮、たくわん漬け、そして温かいひと口汁粉。
さあ、今日の献立は? しあわせは、うまい汁とめし、そしてほんの少しの甘いもの。
おいしくて、にぎやかで、温かい人情派時代小説。
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