事典にない大阪弁

事典にない大阪弁

取り寄せ不可

出版社
浪速社
著者名
旭堂南陵(4代目)
価格
1,650円(本体1,500円+税)
発行年月
2019年4月
判型
B6
ISBN
9784888545181

著者「はじめに」より
大阪弁に興味を持ったのは、高校生の時だった。それまでは船場の平野町育ちの上品な北船場言葉が、私の言語生活の中心であった。船場から堺に嫁いで来た母の使う言葉であるが、私が子どもの頃通っていた堺市立熊野小学校、同殿馬場中学校の校区も旧堺市内にあり、友人の母たちも母同様のおっとりとしたしゃべり方をする人が多かった。ところが、府立泉陽高校に入学するとカルチャーショックが待っていた。なにしろ泉州地区や河内地区からも生徒が通学してきていた。
「これなにけぇ」とか、「ここに書くんけっ」という河内弁があるかと思えば、「わい、行ってきちゃらしよ」という岸和田弁、「ま一個えれて(もう一個入れて)」という和泉弁、「おませなして」「そうでございまさして」という岸和田の奥あたりにあった言葉づかい。(恐らくこういう言い方は滅びてしまっているであろう。)
とにかく聞いたことのない単語と言葉づかいに、いきなり囲まれてしまったのだ。まだその頃は逐一メモにしなかったが、近畿大学に入学し講談を先代南陵に習いはじめてから、大阪弁を集めておかねばならないという義務感を持ちはじめて収集しはじめた。
本書はその集大成である。牧村史陽さんの『大阪ことば事典』を参考にして、そこにない単語を本書に載せた。ここに紹介(笑解)した大阪弁の収集について、私は本当に恵まれた環境にあった。近大、大阪府大の大学院の農学部で学んでいた頃は、アルバイトで農家の種々の調査をしたおかげで、府下全域をまわることができた。また、古い大阪弁を使う皆川真智子さん(ご主人は名球会入りを果たした皆川睦夫氏)、北の新地の芸妓で踊りの名手西川梅十三姉さん、作家の田辺聖子さん、同じく藤本義一さん、イラストレーターの成瀬國晴さんたちと話をしている内に私の知らない大阪弁を自然と教わることができた。
幸い初版は品切れ、そして次々と現れる聞いたことのない大阪弁、増補改訂版を出すに至りました。嬉しいかぎりです。
今、大阪の芸人の中できちんとした大阪弁をしゃべれるのは、何人もいない。講談師では私だけという自負があるのも、今、名をあげた皆様や一杯のみ屋の女将さんや古い商売人の皆様のおかげと感謝している次第である。

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