取り寄せ不可
悪い予感とともに、オフィスに駆け込んだ秘書のアビゲイルに、
社長のロスは冷たい口調で遅刻の理由を問いつめた。
ほかの女性なら彼の前で、恥ずかしそうにうつむくかもしれない。
でもアビゲイルは、ハンサムで危険な男性はもうこりごりなのだ。
ロスだって私を、おとなしい鼠としか思っていないし、
心のなかに何かを抱えているだなんて夢にも思っていない。
婚約者と夜更かししたと言いよどむと、苦々しげな目で、
「君は彼を愛していない」と断言され、心を見透かされてしまう。
そして、その日を境にロスは私生活にまで干渉し始めた。
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