京都からみた、日本の老舗、世界の老舗

龍谷大学社会科学研究所叢書

京都からみた、日本の老舗、世界の老舗

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出版社
新評論
著者名
松岡憲司
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2019年3月
判型
A5
ISBN
9784794811196

京都の町は、今日も相変わらず国内外からの観光客で溢れかえっている。訪れる人々が感じる京都の魅力、それは何よりも、神社・仏閣、祭りや伝統工芸品に体現されているような、歴史に裏打ちされつつ今に生き続ける文化であろう。京都市民へのアンケート調査で、「京都が世界に誇るもの」を尋ねたところ、神社・仏閣や伝統工芸に次いで「老舗」を挙げた人が約半数にのぼった。また、「京都にとって老舗は必要か」という問いには、九割近い人が「必要」と答える一方で、老舗に対するイメージを尋ねられると六割強の人が「保守的」と回答した。長い歴史を有する老舗は、常に何かしら新しいことに挑んできたわけだが(だからこそ生き延びられた)、このアンケートで「革新的」と答えた人は約三分の一にとどまった。
 筆者たちは、2010年から京都の老舗における伝統と革新についての調査研究を重ねてきた。そのなかで、2011年と2016年に「京都の老舗による革新」をテーマとするアンケート調査を実施した。その結果、現在の老舗が革新【イノベーション】に積極的であるかどうかは、先代以前の革新に対する姿勢、いわば「社風」に影響されることが明らかとなった。そこからさらに、革新への姿勢、企業規模、経営状況によって老舗企業を六つのタイプに類型化した。一概に京都の老舗と言っても、代々革新に熱心な老舗もあれば、規模が零細で業績も芳しくなく、革新には消極的で、近い将来には廃業も懸念される企業もあった。
 なお本書では、京都の老舗の特徴を示すために東京、金沢、イタリア、中国の老舗との比較も行っている。創業年代は国内外を問わず1800年代が多く、工芸や酒造などが代表的な業種となっている。こうした国際比較をもふまえて、老舗と呼ばれる企業の歴史と現在をつまびらかにすることで、日本の地域産業・地域経済の今後を考える上での参考材料を提供できれば幸いである。(まつおか・けんじ)

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