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「1920年代後半から1930年代にかけて、日本の精神分析運動は大きな盛り上がりを見せた。(…)しかし、そのような戦前の日本の精神分析については、これまでほとんど知られていない。(…)本書の目的は、精神分析が日本でどのように始まり、展開していったのか、特に精神分析臨床の文脈における草創期の全貌を明らかにするものである。(…)
歴史はトラウマに満ちている。(…)精神分析は、個人の歴史の再構成が、心的変化に重要な役割を持つと考えてきた。精神分析が示し続けてきたのは、歴史を知ることから、私たちは現在の問題を理解する枠組みを学べるということであり、これから歩むべき道をもまた知ることができるということである」(はじめに)
日本の精神分析におけるパイオニアである五人の男たち――矢部八重吉、丸井清泰、大槻憲二、中村古峡、古澤平作。彼らはなぜ精神分析に向かったのか。そして、どんな者が分析家となるのか。彼らの人生と臨床に残された資料を丹念に調査し、日本の精神分析の歴史と治療の実質を紐解いてゆく。それは、なぜ日本に精神分析が根を下ろさないのか、の答えを探る試みでもあるだろう。
臨床家である著者が、精神分析の暗闇に初めて光をあてる、画期的な著作である。
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