「給食の運営」・「給食管理」と、「給食経営管理」をはっきりと分けて構成し直した全面改訂版。ムリ、ムダ、ムラを管理できるマネジメント能力をもつ管理栄養士を育てる。
現在,管理栄養士が活躍する場は,保健,医療,介護,福祉,教育など多様な分野に広がり,高度な専門的知識と技能を持った管理栄養士の社会的役割はますます大きなものとなっている.
管理栄養士の役割の一つは食べ物をベースとした栄養管理の実践である.そのため,管理栄養士は,給食利用者の身体状況,栄養状態等に応じて食事を計画する「栄養・食事管理能力」,給食の運営を効率的に行うための「生産管理能力」,栄養・食事管理や生産管理のための「システムを構築する能力」が必要である.
また,給食施設を取り巻く環境は著しく変化し続けている.特に経営環境はますます厳しく,労働力不足や消費税増,災害時への備えも含め,給食の資源である労働力,食材料,施設・設備を十分な資金で備えることは難しくなっている.これらのことより,栄養・食事管理や生産管理のシステムを動かすための資源を
管理し,効率的かつ継続的に機能させる「総合的なマネジメント能力」が必要とされている.マネジメントを行うには,給食施設の目的を達成するために,栄養・食事管理や給食の運営業務だけでなく,資金や労働力など給食の資源を管理することが求められるが,そのためには,管理栄養士・栄養士の給食経営管理に関する業務全体を俯瞰することが必要であろう.
本書では,広範囲にわたる管理栄養士・栄養士業務を,「給食の運営の中心となる管理項目」,「給食の運営に加え,給食管理の視点が必要な管理項目」,「給食の経営管理(給食経営管理)に必要な管理項目」に分け,段階的に理解が深まるように心掛けた.また,いくつかの管理項目については実践例を取り上げた.
今後,給食関連分野の制度改正や社会環境の整備,調理システムの技術開発など,新たな変化が起こりうる.時代や社会が変化しても,管理栄養士・栄養士が栄養と食事を通して人々の健康と幸福に貢献する専門職であることには変わりがない.効率の中にも食事のもつ多様な役割を調和させるべく,全人的な視点が必
要である.
本書がそれぞれの立場で活躍する管理栄養士・栄養士の基礎作りに貢献できることを願っている.(まえがきより)
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