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芸術文化の領域にも押し寄せる市場自由化の波。
ドイツの国民国家成立期から現代までを視野に、法、概念、理論をめぐる議論をひもとき、「文化的生存配慮」の理論的基盤をとらえ、
今日の公的文化政策の中核とミュージアム像を考察する。
[主要目次]
序 章 公共文化施設の必要性と存在理由をめぐる今日の議論
一 国際的な研究の文脈における二つの潮流とその背景
二 ドイツにおける文化政策理論化の出発点 ──公的文化政策が自明ではない国
三 鍵概念としての「文化的生存配慮」
四 本書の構成と史資料
第一部 ドイツにおける文化政策の野心と苦悩
第一章 ドイツ連邦共和国基本法改正案に見る「文化国家」と「生存配慮」
一 第二〇b条新設という勧告
二 文化諮問委員会設置の背景と目的
三 勧告の主旨 ──公的文化政策の明文化
四 「文化的生存配慮」の意図
第二章 ドイツにおける文化政策の起源
一 現在の議論の位置
二 一九世紀の文化国家論
三 ステイトの語源 ──集権性への志向
四 国民国家運動と文化国家論
五 ヴァイマル憲法 ──芸術振興についての議論と意図
六 ドイツ国の文化政策構想
七 フォルストホフの「生存配慮」理論
第三章 「文化国家」と「生存配慮」──戦後の理論的克服
一 克服の前提
二 現代の「生存配慮」の限定的性格 ──要請される「中核」の定義
三 欧州の一般利益サービス論
四 今日の「文化的生存配慮」の性質
第二部 民主社会の基盤としての自治体文化政策とミュージアム
第四章 「万人のための文化」の登場 ──芸術振興から住民のための文化政策へ
一 基礎的自治体による「文化国家」の解体 ──「新しい文化政策」の登場
二 万人のための文化 ──二つの意図
三 文化局の外での意見の集約
第五章 ドイツにおける「ミュージアムの危機」
一 「新しい文化政策」の聖地でミュージアム?
二 西ドイツの「ミュージアムの危機」
第六章 「万人のための文化」を可視化するミュージアムの河畔の成立とその意図
一 ミュージアム論争 ──討議への意欲
二 ミュージアム発展計画 ──媒介への期待
三 第一市長の期待 ──都市の表象への野心
四 ミュージアム集積地帯
五 政策根拠
六 拮抗する三つの期待 ──ミュージアムの河畔の成立
第七章 ミュージアム政策の課題と未来 ──公的助成と市場自由化の二極化の克服
一 「お楽しみ社会」の登場
二 ミュージアムと媒介
三 討議的ミュージアム ──実践編
四 政策上の課題
五 プロジェクト支援 ──展示と媒介を支える
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