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「ぼくの夢」
大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくは
タイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
前の日に行く
そして
「仕事に行ったらあかん」
ていうんや
これは、お父さんが「過労自死」してしまった
6歳の男の子、マー君の言葉です。
マー君のお父さんが亡くなって20年近く経ちますが、
今もなお、過労死遺族の思いを象徴する詩として、
大切に読み継がれています。
本書は、そんな遺族たちの「今」を7年間にわたり追った
ノンフィクションです。
朝日新聞で掲載された過労死特集「追いつめられて」をもとに
追加取材を重ねて一冊にまとめました。
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『過労死を「他人ごと」から「自分ごと」にするために』……牧内昇平
「過労死」という言葉を聞いてどんな印象をもちますか?
“亡くなった人はかわいそうだけど、
自分は今のところ健康だから大丈夫”
そんな風に思っていないでしょうか。
実はわたしも、数年前に過労死遺族と出会うまでは
そう考えていました。
新聞社に勤めているわたしは駆け出しの頃、
毎日早朝から深夜まで働いていました。
体力には自信があったので、
自分とは無縁の話だと思っていました。
わたしにとって過労死は、「他人ごと」だったのです。
考え方が変わったのは、
過労自死で父を亡くした小学1年生のマー君の詩、
「ぼくの夢」と出会ったおかげです。
生まれたばかりの息子の顔が、頭をよぎりました。
わたしがいま死んだら、息子は、妻はどうなる?
命より大切な仕事なんてあるのか?
そのとき、わたしの中で過労死は
「他人ごと」から「自分ごと」に
変わったのだと思います。
積極的に休み、
自分の残業時間やメンタルヘルス(心の健康)に
気をつかうようになりました。
なにより、妻や子どもと過ごす時間を
大切にするようになりました。
過労死を「自分ごと」として考え、
日々の働き方、暮らし方をみつめ直してもらう。
それが本書のねらいです。
長時間労働だけでなく、
パワハラ、サービス残業、営業ノルマの重圧など、
働く人を「過労死」へと追いつめる
多くの問題に触れています。
読み進めてもらえば、
自分の状況に近い人が見つかることと思います。
家族の働きすぎが心配な人も、
ぜひ手に取ってみてください。
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