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真宗の求道者、安田理深(やすだ・りじん。1900?1982)。定職に就かず私塾の相応学舎で論疏を講じ、自ら思索を続けて多くの学生を感化。深遠にして難解と評された講義には熱心な聞法者が駆け付けた。その一人でのちに学舎を継いだ著者が、師の生涯と思想を当時の熱気と共に語り尽くす。
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本書から――
……先生の浄土の了解というものは、単なる浄土教というよりも、仏教学の思索を通した浄土の普遍的な意味、本願の教えの根元的な意味というものを解明している。安田理深選集の第一巻を発刊するときに、松原祐善先生は、安田先生の学問は、真宗学でもないし、単なる仏教学でもない、仏道を歩む行者としての学問だとおっしゃっていました。
……浄土という問題に絞って親鸞教学を構造的に解明したのは非常に珍しいことです。安田先生はこの話を、お百姓さんも聞いておられる会座で三日間なさったのです。先生の営みは、存在の故郷を明らかにするべく、自分のあらゆる疑難をぶつけながら思索していく。その営みは何処に行っても行われる。聞いている方は皆ほとんど分からない。分からないけれども、安田先生の思索に触れると、今まで聞いていたものがどうも嘘臭い。だから、いよいよ聞かずにはおれないということになって、先生と一緒に存在の故郷を解明する会座が相続されていくのです。
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