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1980年代から90年代に、メキシコはそれまでの一党支配型権威主義体制を改める政治制度改革と、国家介入型経済を改める新自由主義経済改革を実施した。それによって民主的な政治社会と豊かで安定した経済が実現するはずであった。
政治制度改革の結果、2000年の大統領選で野党・国民行動党(PAN)への政権交代が実現した。しかし 2012年の選挙では権威主義体制下の与党・制度的革命党(PRI)が政権に返り咲いた。民主的な選挙で、国民は旧体制を体現する政党を選択したのである。一方、貿易投資の自由化により輸出産業は成長し、グローバル経済に適合した経済の近代化が進展した。しかし目覚ましい成長は実現せず、所得格差も貧困も解消されていない。
メキシコではなぜ、改革が目指した民主的な政治社会と豊かで安定した経済が実現していないのか。本書はその理由を 2つの視点から明らかにすることを試みている。第1の視点は、2000年以降のメキシコの政治・社会・経済において注目されるさまざまな事象のなかに理由を探ることである。本書では第1~6章までの各章がそのような視点からの分析である。
第2の視点は、政治・社会・経済の総体としての国のあり方のなかに理由を探ることである。その際に着目するのが、本書で注目するさまざまな事象の背後にあって、その展開の方向性に影響を及ぼす政治・社会・経済の論理である。本書では国をそのような論理のせめぎ合いの場としてとらえ、改革が進まない理由をせめぎ合いの結果として示すことを試みている。
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