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租界都市上海には、欧米人による音楽文化が深く根付いており、19世紀にはオーケストラや西洋式劇場を有していた。さらに20世紀に入ると、ロシア革命を逃れたロシア人亡命者、ナチの迫害を逃れたユダヤ人避難民のなかの第一級の音楽家が、ペテルブルク、モスクワ、パリ、ベルリン、ヴィーンなどの最前線の音楽を、上海租界にもたらした。本書では1920年~40年代の、亡命者たちの「上海楽壇」における音楽とバレエの実像を、精密かつ鮮明に描き出す。オーケストラ・演奏家・バレエ団などが、いつ、何を上演し、人々がどう受け止めたのかは、これまで明らかになっていなかったが、近年公開やデータベース化が進む上海租界で発行された外国語新聞を通して、読み取れるようになった。また、朝比奈隆、小牧正英、山田耕筰、原善一郎など多くの日本人に引き継がれた上海楽壇からの遺産の様相、および興行主A.ストロークのアジア・ツアーの全容も、本書で初めて明らかになる。
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