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中国共産党第19回全国代表大会は、習近平総書記が権力基盤を確立したことを内外に示すものとなった。習は、任期中に自らの名前を冠した「思想」を党規約に盛り込むことにも成功しており、これは毛沢東や鄧小平に匹敵する権威を得たことを意味する。こうしたことがなぜ可能であったのか、そして第 2 期以降の習政権はどこに向かうのかという問いに答えることは、中国研究者が避けて通れない研究テーマになったといえる。
筆者は以前に、習政権が集権化に成功した理由に関して、胡錦濤政権期の改革開放停滞を打破することへの期待がスタート時の習政権に集まったとの仮説を立てたが、現実の展開のなかで、この仮説は半分当たり、半分外れたと自己評価している。
当たった部分は、2013年11月の中国共産党第18期中央委員会第 3 回全体会議において改革開放推進の網羅的方針を盛り込んだ決定が行われたことである。本書第2章で分析しているように、同決定は、まず対外開放を推進することで国内の改革を促進するという発想を有していた。決定に先立つ9月には、自由貿易試験区実験が上海で始まり、外遊した習国家主席によって「一帯一路」構想が打ち出された。両政策は、実際に国内の改革を促進する効果を有していた。外れた部分は、改革開放の40年がもたらした経済体制の市場化や、共産党と行政組織・企業との関係、さらには、社会の自由な雰囲気が以前の体制やレベルに逆戻りしつつあるようにみえることだ。習政権がどうしてこのような「逆コース」を選択したのかその背景を探ることは、第 2 期以降の習政権の行方を予想する作業の基礎となろう。
本書は、上記した問題意識を出発点として、習政権下の政治、経済、外交、対外経済、企業経営、社会の現状をそれぞれの分野の専門家が分析し、政権が直面している課題の全体像を明らかにし、今後の政権の展望を得ようとする試みである。
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