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中世末期・近世初期において、日本文化に他者として多大な影響を与えたのはキリスト教圏の文化体系であった。
隠れキリシタンの里として知られる大阪府茨木市千提寺の旧家に長く秘蔵されていた貴重資料『吉利支丹抄物』は、同時代の異文化間接触の賜物として、日本文化の実体の奥底を考究する上で極めて重要なものである。
キリスト教布教のために宣教師と日本人信者によって著されたと目される本書は、イベリア半島で刊行された複数の宗教書の一部が編集・翻訳され、日本人に分かりやすいように仏教的教養を背景に叙述されており、当時の言語や思想、文化、歴史のみならず、地理や法・政治など諸領域を含む、人文社会諸科学全般に裨益する資料である。
その全篇を影印・翻刻。現代語訳と解説を附した決定版。
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