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なぜ、本書を上梓するのか。そう問われれば、「日本のものづくり教育、なかでも学校教育の美術科工芸の内容と技術科加工の内容とは、未だに『同床異夢』が続いています。上梓の意図は、その『同床異夢』の経緯へ眼差しを向け、それを踏まえて、ものづくり教育の未来像を描くことにあります」と答えます。題目「ものづくり教育再考」と副題「戦後(1945 年以降)ものづくり教育の点描とチャールズ・A・ベネット著作の抄訳」には、そうした思いを込めました。
では、ものづくり教育の未来像へ眼を向ける理由は何か。
さらにそのように問われれば、次の三つの理由を挙げます。
第一は、福島原発事故(2011)を踏まえて、ものづくりに責任をもつ教育を構築することが今後の我が国における切実な課題と捉えたからです。
第二は、学生時代を過ごした福島大学の図書館で、チャールズ・A・ベネットの著作に触れ、過去・現在・未来を俯瞰して、ものづくり教育の未来像を描く重要性を知ることができたからです。
第三は、ものづくり教育に関わる講演・鼎談・シンポジウムの場として企画した「ホワイトテーブルin札幌」(2015、2016)において、科学・技術・造形芸術(責任ある工芸&デザイン)が連携して、ものづくり教育の未来像を描く大切さが確認されたからです。
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