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充実期の作家人生を振り返る
本書は、未邦訳の自伝『生まれるにはなかなか良い時』(1935年生まれのロッジが75年に『交換教授』で名声を確立するまで)の続編で、現代の英国文学の巨匠が、作家として脂の乗った、1976年(41歳)から91年(56歳)までを回顧するメモワール。
本書の白眉は、1984年、『小さな世界』が1票差でブッカー賞の受賞を逃すが、大学を辞めてフルタイムの作家になる決心をすること、そして1988年、『素敵な仕事』がまたしてもブッカー賞を逃すものの、翌年、ブッカー賞の選考委員長になり、カズオ・イシグロの『日の名残り』が受賞し、その内幕が詳述されるところだ。
「彼は仮面を着けない。自分の失敗も成功も、好むものも好まないものも、強みも弱みも隠していない。彼は自分の人生に、科学者が実験室で死体を解剖する時のように冷静な目を向けている」と、評価も高い。
充実期の作家人生を、創作の舞台裏から、着想の秘密、執筆の様子、文壇や学会の内幕までをつぶさに語りつくし、長年の愛読者には、まさに興味津々の自伝。貴重な写真を多数収録。
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