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オランダとイングランドの東西インド会社に代表される貿易独占企業は、ヨーロッパが世界を制するうえで立役者となった。政治権力のみならず軍事力をも保持した特異な企業の礎を築いた人物たちの強烈な生きざま。
<その商才、鋼の意志と傲岸な自信、自分の人生の他のあらゆる資産を犠牲にしても、会社が儲かることにのみ身をささげる底知れぬ献身>(p.272)
<英雄的交易の時代の貿易王たちは、犯罪容疑者リストにのったような伝説的な商人=冒険家で、三百年間、広範にわたる交易企業を、世界のかなりの部分に拡大したが、その目的は、株主に対し収益を生み、自身の私腹をこやし、みずからの虚栄心をみたすことに他ならなかった。英雄もしくは悪党、愛国者もしくは泥棒、利口な統治者もしくは貪欲な盗賊。こうしたことは、しばしば、同じコインの裏面である。こうした昔の貿易王に思いをめぐらすことは、バックミラーをみるようなものだ。文化的虚飾を取り除けば、同類の輩が、ビジネスと政治をまぜこぜにして、今日でも現代世界をつくり上げているのが見える。>(p.332)
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