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いましめくくりの時のはじめに、八つの短篇を書いて、そこに映る自分を見る。切実な時代の影に、個の生の苦渋のあとは見まがいがたいが、ユーモアの微光もまんべんなくある。思いがけないのは、女性的なものの力の色濃さだった。遠い幼年時の自分と、それほど遠くないはずの死、また「再生」を思う自分を結んでいる。知的な経験と、森のなかの谷間の神話を、懐かしく媒介しているのも女性的なものだ(著者・『いかに木を殺すか』)
【収録作品】
身がわり山羊の反撃/「芽むしり仔撃ち」裁判/揚げソーセージの食べ方/グル―ト島のレントゲン画法/見せるだけの拷問/ヒメコの大抜け穴/もうひとり和泉式部が生まれた日/その山羊を野に/「罪のゆるし」のあお草/いかに木を殺すか/ベラックヮの十年/夢の師匠/宇宙大の「雨の木(レイン・ツリー)」/火をめぐらす鳥/「涙を流す人」の楡/僕が本当に若かった頃/マルゴ公妃のかくしつきスカート/茱萸(ぐみ)の木の教え・序
──中期傑作短・中編
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