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◆第三句集
言葉や季語が佐藤郁良を待っていたのか。もしくは、佐藤郁良がそれらを待っていたのか、ときどきわからなくなる。その句の持つゆたかさを実感し、あるいはストイックすぎる姿勢を感じるたびに。
(帯より・櫂未知子)
◆自選十五句より
春を待つ前売券が二枚あり
わかさぎのむべ若草の香を放つ
寄居虫這ふジーンズは遠浅の色
若き息なれば風船割れ易し
涼しさや水蜘蛛にうたかたの家
木を選ぶことから始めハンモック
夕空へ流れ出したる茄子の紺
はつ秋や琉球は蝶高き国
踊りけり跣の底の擦れるまで
綿打の綿にまみれて了りけり
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