石器時代から20世紀まで2万年に迫る中国服飾の展開を、3000点を超える写真や図解で分かりやすく通観。衣服や冠帽はもちろん、履物や装身具、髪型や化粧まで、網羅的に解説するビジュアル決定版!
【監修にあたって】
中国歴代の絢爛たる服飾文化を網羅した比類なき大著
古田真一(帝塚山学院大学教授)
本書は『服飾中華―中華服飾七千年』(北京:精華大学出版社、二〇一一年)の日本語版である。中国の服飾の起源はひじょうに古く、今から一万八千年前の旧石器時代晩期には人々が獣皮を縫って衣服とし、獣骨や石珠を連ねて身体を飾っていたことが出土品から窺える。本書では、そうした旧石器時代から記述が始まり、辛亥革命後の二十世紀までの服飾について、衣服や冠帽をはじめ、装身具、髪型、化粧、さらには織物の種類・技法・文様に至るまで、多方面にわたって網羅的に詳述されており、副題の「中華服飾七千年」をはるかに超え、二万年に迫る中国服飾史の展開を通観できる内容となっている。
本書の最大の特徴は、言うまでもなく豊富な図版を用いた具体的な解説にある。服飾史に関する研究は、正史に載る輿服志などの記述を読み解くことが不可欠であるが、文献の記述からだけでは服飾の具体的なイメージを把握することは容易ではない。それを補完するため、本書では、服飾の実物はもちろんのこと、絵画や彫刻に描写された服飾表現を博捜し、約三千点にものぼる図版によって各時代の服装を余すことなく視覚的に提示しており、本書のページをめくるごとに、中国歴代の服飾のイメージが鮮明に浮かび上がってくることは疑いないであろう。
本書のもう一つの特徴は、各時代の服飾のデザインや文様の意味を、当時の思想や社会情勢と明確に関連づけて説明している点である。中国の服飾は、単に身体を保護し装飾するといった実用的な目的を超え、時代精神を具現化する機能も備えていた。本書では、そうした視点から、各時代の服飾の形状・材質・文様・色彩・数量などの
内面的な意味について、数多くの文献を引用しながら解き明かしている。
本書を通観すれば、中国の服飾が各時代の社会を濃厚に反映していることや、どの時代においてもファッション性が追求され、時には異国の服飾文化と融合しながら、絢爛たる服飾文化を形成していったことが理解できよう。最新の研究成果を存分に盛り込んだ本書が、研究者のみならず、中国文化に関心のある多くの人々にとって有益な書籍となり、様々な場で広く活用されることを期待したい。
【本書の特徴】
◆中国内外の博物館や研究機関、個人が所有する服飾にまつわる歴史的資料について、総計3000 点におよぶ図版を掲載。
◆衣服や冠帽はもちろん、履物や多彩な装身具、髪型や化粧、埋葬時に身に着けた玉衣服飾まで、身にまとうもの・身体を装飾するもの全般を網羅。
◆服飾品・装身具などの現物だけでなく、壁画や布帛画、俑や?彫など、服飾品・装身具がどのように身に着けられていたかを示す具体的用例を掲載。
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