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書物の近代化は江戸時代からはじまっていた。
和紙から洋紙へ、和本から洋本へ。書物の形態が変化するとき、人は何を考え何を目指すのか。
幕末にこれからの出版を考えるために編まれた、出版統制に関する記事を集めた資料、『開版指針』(写本)の全貌を初めて紹介。この文献記録の分析を行い、同時に顕微鏡による料紙観察という新たな書誌学的手法を取り入れ、江戸末期から明治期にかけての日本における書物の変容について考察する。文献に記録された情報と、書籍を構成する紙を分析することで捉えられた、新しい日本幕末出版史。
書物・書籍はどのような要因・条件をもって作り上げられてきたのか。その根源に迫る。
【本書は十九世紀、江戸末期から明治期にかけての日本における書物の変容について、書誌学的に考察することを主意としている。日本の書物は、和本もしくは和装本と呼ばれる形態から、洋本あるいは洋装本といわれる、現在ほぼすべての書物にみられる装訂形態へと変化した。その過程に対して、書物を研究対象とする書誌学という視点を軸とし、書誌学としては新たな研究手法を用いた結果から検討する。考察の中核となる対象は、国立国会図書館所蔵の『開版指針』という資料である。出版統制に関する記事を集めた江戸期の写本である『開版指針』の記述内容を、同時期の公的文書資料と照合・比較しつつ、既存の書誌学的手法だけではなく、新しい調査方法で得た結果を併せて検証することにより、『開版指針』という資料の全体像と資料の意義を明らかにする。】…「序論」より
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