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拉致問題を調べていく中で、海岸線からの工作員の上陸について
関心を持ってきた。ともかく現場を見ようと全国の工作員上陸地点を
まわり、日本の海岸が、工作員にとってきわめてたやすく上陸できる
ということを痛感した。
しかし、漂着船について調べていくうちに、その認識すら甘いこと
に気づいた。工作員である必要はない。極論をすれば、誰でも入れる、
ということだ。
私たちが「日本は海に囲まれているから安全だ」と思っていたのは
まったくの間違いで、海には壁が築けないのである。
(本書より)
北朝鮮から日本に流れつく無数の木造船――。
その数は昨年秋から急増し、今年2月までになんと100 隻以上にのぼる。
長年、北朝鮮による拉致問題に取り組んできた著者は、北朝鮮工作員の
上陸地点と木造船の漂着地が重なっているのに気づき実地調査を行なう。
そして、驚愕すべき結論に達する。
明らかに漁民以外が乗っていた形跡がある漂着船が、多々あるのだ。
そして、その一部が密かに日本に上陸していたとしても誰にもわからない。
半島有事の際には、この「運搬ルート」経由で多くの難民が日本をめざす
可能性もある。日本に、海から迫りくる危機への備えはできているのか?
水面下で進行する危機の実態をつぶさに伝える衝撃の書!
<目次より>
はじめに
第1章 闇夜に浮かんだ漂着船
◆「海に囲まれているから安全」という神話
◆暗闇に浮かんだ「怪獣」
◆崩れていく木造船
◆散乱する燃料タンク
◆五年間放置された漂着船
◆「あと二人乗っていた」
◆木造船を見失った警察
◆雪の海岸にカラスの群れが
◆隠蔽の海岸――山本美保さん失踪事件の謎
◆処分できない漂着船
◆ヤグラが残っていた無人の木造船
◆「漁業中の事故」では説明不能な事態
第2章 見過ごされてきた危機
◆初の亡命「ズ・ダン号」事件
◆日本への「威嚇」で死体を漂着させた?
◆深浦の四人
◆残されていたテントとフォーク
◆公開情報からわかる「事件」
◆佐渡に集中した漂着
◆生存者は何を語っているのか
第3章 難民パニック
◆「日本に行けばなんとかなる」
◆日本でこれから起きること
第4章 隠蔽の構造――問題解決を拒む「内なる敵」
◆横田めぐみさんの拉致さえ隠蔽されていた
◆拉致事件をめぐる「嘘の連鎖」
◆漂着船と拉致問題に共通する隠蔽の構造
第5章 日本の防衛の根本的矛盾
◆私が予備自衛官になった理由
◆自衛官は拉致問題に関心がない
◆三万四千キロの海岸線を「専守防衛」は不可能だ
◆「報復」できなければ国家は守れ
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