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『神よりの逃走』『沈黙の世界』等、スイスで著述活動を続けた批評家ピカート。第二次世界大戦後まもなく刊行された本書は、ヒトラー政権下のナチス・ドイツ社会を分析、批判しつつ、それを支持していた人間像を描き出す。すなわち20世紀に入り社会状況の変化から支離滅裂な「あたらしい人種」が現われ、独裁者の言葉を受け入れる素地が作られてきたと評価するのである。しかし単に時代の暗黒面を強調するだけではなく、人類の進むべき道をも考察する。独裁者と全体主義といった、古くて新しい問題を考えるうえで省みたい書である。
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