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「ランプを持った天使」として慈愛、献身の代名詞のように崇め奉られてきたフローレンス・ナイチンゲール。クリミアで名声を得ながら、帰国後、看護の現場に背を向けつづけたことは、後世の伝記作者たちを悩ませてきた謎だった。病院看護の仕事と、後進の看護婦の指導・育成をかつてあれほど激しく望んだ彼女が、いったいなぜ?
戦争終結の翌年、1万6千人の兵士の死をもたらした責任を追及する王立委員会が開かれた。ナイチンゲール自身が積極的に開催を働きかけた王立委員会が終了した直後、彼女は虚脱状態に陥り、10年もの間病床にあった。以後、完全に健康を取り戻すことなく、それでも一生をつうじて、政府や医学界を相手に苛烈な公衆衛生改革へと自らを駆り立てていったナイチンゲール。その原動力となった「罪の意識」とは。どんな事実に彼女は辿りついたのか。
没後より出版の相次いだナイチンゲール伝のいずれにも抜け落ちていたある事実を、偶然残された2通の手紙を導きの糸として追ったFlorence Nightingale: Avenging Angelからほぼ20年。新たに公開されたナイチンゲールの書簡やイギリス議会の記録をもとに、初版では謎に終わっていたところに納得のゆく結論を得た改訂版から、結論の加筆を生かした待望の新版。
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