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「坊さん、よう生きとったな」
様々な怪異や妖かしに立ち向かう
一休宗純の壮絶な生涯を描いた
傑作 室町伝奇小説!
宮部みゆき氏に絶賛された
日本推理作家協会賞候補作「東山殿御庭」から
書き下ろし「朽木の花」まで、
朝松健が描く一休ものの集大成!
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世は室町ブームである。
しかし約二十年前から、室町時代を題材にした伝奇小説を、ひたすら書き続けている作家がいる。朝松健である。
「朽木の花」に登場した時点の一休は、大切な人を失い、この世のすべてに絶望している。本作が書き下ろしであることを考えると、実に興味深い。
一休の絶望は、平成が終わろうとしている現在の日本に対する絶望ではないのか。
本書は一休の年齢順に作品が並べられており、この物語の彼は七十七歳である。あまたの壮絶な体験を経てきた一休の行き着く先が絶望かと思えば、なんともやりきれないではないか。
だが作者は、瑞輪寺での出会いにより、一休に希望と未来を与える。年齢も時代相も関係ない。人は生きている限り、希望を抱いて未来に向かっていくべきなのだ。
世は室町ブームである。ようやく時代が、作者に追いついたといっていい。だから、本書が出版される意義がある。
伝奇小説でなければ表現できなかった室町時代が、ここに屹立しているのだ。
――細谷正充(解説より抜粋)
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