本書は,「どのような方法を用いれば,ナノ粒子を正しく測れるか」を,原理から応用にわたって説明しています。ナノ粒子を計測することに関心が高まっていることには,二つの背景があります。一つは産業のナノテクノロジー化が進展し,様々なナノ素材の利用が進んでいることです。もう一つは,生態系への影響が十分に見通せないナノ粒子に対して,予防原則の観点から,欧米で規制が始まっていることです。これらの産業応用や規制に向けて,ナノ粒子がどのような形態や特性を持ち,どのようなサイズ(分布)をしているかを知らなければなりません。
本書は7章で構成され,ナノテクノロジーとナノ粒子の産業応用に関する概観(第1章)を踏まえて,ナノ粒子の計測法の原理と計測のための試料調整法が詳しく説明されています(第2,3章)。その上で代表的な手法での計測例を詳述し(第4~6章),規制にも関係するナノテクノロジーの国際標準化の現状も紹介しています(第7章)。
本書は,計測装置開発の最前線にいる研究者が記述しています。分析化学実技シリーズが狙いとする若い分析化学研究者や技術者の方々にとって,まさに「分かりやすい」,「役に立つ」内容になっています。是非ご一読ください。
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