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平安時代中期の公卿、藤原実資(九五七?~一〇四六)の日記。著者の出自と政治的位置とに伴う情報の豊かさと正確さ、それを記録する意欲の強さと表現能力の高さを兼備し、貴族の日記として代表的であるだけでなく、平安中期の基本的な史料として貴重。政治・儀礼・社会・家族・宗教・文化などの実態を知る最高の史料。尊経閣文庫では、古写本として全三十七巻を所蔵。本史料の自筆本は現存しないが多くの伝本があり、なかでも平安・鎌倉時代の書写になる尊経閣文庫所蔵本は伏見宮家旧蔵本、九条家旧蔵本(ともに宮内庁書陵部所蔵)などと並んでもっとも古く、質・量ともに極めて優れた古写本といえる。
本冊には原本調査をふまえた詳細な解説(加藤友康執筆)。さらに附録として加賀藩五代藩主前田綱紀が諸所と往復した書状の写しを宛先毎に整理した「書札類稿」のうち、小右記に関わる箇所を翻刻し掲載(20頁)。小右記以外の重要な史料も出てくる貴重資料を初公開。【解説】加藤友康(明治大学大学院文学研究科特任教授)
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