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〈はじめに〉より
この本を今、手にとってご覧になっているのは、おそらく「自立支援」,「将来展望」,「生い立ちに困難を抱える子ども」といったキー・ワードに目を引かれ、どんな内容が書かれているか興味を持ってくださった方なのではないかと思います。
本書は、「子どもの自立」を支える方に向けたものです。
ただし、その「自立」とは、技術的なものではなく、精神的な前向きの「心構え」を指します。
子どもの自立を支えるためには、外的な必要性から行われるスキル的なものの伝達であったり、子どもの特性と仕事をマッチングさせる職業適性検査といった、就労支援的な内容ももちろん重要です。しかし、それだけでは充分ではありません。
技術を身に付ける前段に、そもそも、おとなになりたい、将来について考えたいという精神的なレディネスが形成されていなければ、どのようなスキル支援も身に付きません。
このような子どもたちにとってまず必要なのは、これらのレディネスを形成し、将来に対する肯定的な展望を持つことだと考えています。
経済的な問題から選択の幅が狭まってしまうということもありますが、それよりもむしろ、子ども自身の気持ちが未来に向かっていないということが、より大きな障壁として立ちふさがっている――そう実感されることが、ままあるのではないでしょうか。
そういった独特の難しさを抱える子どもたちが、どうすれば「将来のことを考えねばならない」から「将来について考えてみたい」に気持ちをシフトし、主体的に自分の自立のことを考えられるようになるのか、子どもの内面に働きかけ、おとなと子どもが一緒にそういう気持ちを育んでいけるような取り組みが必要なのではないか、という切実な思いから、この本が生まれました。
本書では、このような将来展望を育む方法として、キャリア・カウンセリング・プロジェクト(CCP)をご紹介します。
キャリア・カウンセリング・プロジェクト(CCP)とは、児童養護施設や里親家庭で生活している社会的養護の子どもたちと5年にわたって取り組んできた、子ども主体の自立支援のための実践です。
第Ⅰ部は、私たちがキャリア・カウンセリング・プロジェクト(CCP)を生み出すに至った理論的な背景について書かれています。第Ⅱ部は、実際にキャリア・カウンセリング・プロジェクト(CCP)を行うための手順やワーク、また主に児童養護施設内ではどのような効果や意義があったかを記しています。そして第Ⅲ部は少し趣を変えて、社会的養護の子どもたちにとって重要な意味を持つ「生い立ちの整理(ライフストーリーワーク(LSW))」とキャリア・カウンセリング・プロジェクト(CCP)の関連について、若干の考察を試みています。
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