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和菓子、その小さな宇宙に凝縮された記憶、風景、そして感情を、見ることや食べることを通して体験する。京都を拠点とする御菓子丸の杉山早陽子は、目に見えない感性を和菓子という形へと落とし込み、伝統的な世界に新しい風を吹かせます。
「鉱物の実」という銘のお菓子は、琥珀糖にクロモジがささり、まるで木に御菓子の実がなっているかのよう。杉山はこの実を和菓子の原点まで遡り、果実を使って実を表現しようと試みます。そのほかに、時間を経ると色が変化する「うつろい」、風景を閉じ込めるという発想から生まれた「薬箱(くすりばこ)」、ほおずきを灯に見立てた「灯花(とうか)」、草花の芽吹きを玉にした「薬玉(くすだま)」など、儚さや無の境地、あるいは日常や季節のうつろいを愛おしむ感情を和菓子へと落とし込みます。それらの御菓子は五感を通して、私たちの記憶を呼び起こし、そして記憶へと堆積していきます。
本書では、御菓子丸のこれまでの25の和菓子を、それぞれの御菓子についのエッセイと共にまとめています。御菓子丸の世界をより深く知ることができる思考の源を読みながら、瑞々しい和菓子を目で味わってみてください。
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