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応用数学の一分野として保険数理と言った場合,その範囲はかなり限定され,いわゆる損害保険数理におけるリスク理論を指す場合が多い。そして,リスク理論は,元々は保険会社の破産問題を扱う破産理論に始まり,そこでのモデルを基礎とした保険料計算や再保険への応用など,損害保険特有の数理的問題を研究する一分野として認知されている。
本書では,古典論から現代的リスク理論までの学術的な変遷をその理論と共に概観し,また,保険数理の実学としての側面もおろそかにせず,それらの統計的問題と対処法に対しても保険数理という文脈で一定の方法論を与えることにより,より実践に近いところまで到達できるように解説していく。確率論,極値論,統計推測,破産理論,リスク尺度などの各単元をそれぞれ独立に学んで終わるのではなく,モデルの導入からリスク評価の数理的背景,そして統計的手法によって理論を実用化するところまで,一気通貫に記述することを心掛けている。保険数理の理論を勉強する読者にとって,よき入り口となるであろう。
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