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本書に掲載の原本は、奈良の製墨業「古梅園」六世とされる玄々斎(松井元泰)が、子孫のために記した墨づくりに関する遺言書である。
原文をページごとに、写真と翻刻を掲載。
全体の「解説」ページでは、玄々斎の墨づくりに対する思い、情熱、事績を紹介する。
江戸時代、墨は重要な文具であった。しかし、元泰以前の日本では古来の松煙墨(しょうえんぼく)づくりの技法が衰退し、油煙墨(ゆえんぼく)しか生産されていなかった。
墨の美を追求した当時の文化人たちは松煙墨を使用したがったが、日本製の松煙墨は手に入らなかったため、玄々斎は本場中国の墨を超える松煙墨をつくるという難題に立ち向う。
さらに、象の膠(にかわ)を使った墨づくりにも、幕臣を通じて極秘に挑戦―。
「モノづくり日本」の神髄がここに!
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