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21世紀に入り20年近く経ち、1970~80年代(=昭和40~60年頃)は、はるか遠い時代に感じられるようになりました。本書は、スマホもパソコンもなく、情報を得る手段も限られていた時代をグローバルに駆け抜けた著者・広瀬敏通氏が波乱に満ちた半生を自ら書きしるした物語です。
1970年代にガンジーのユートピアを求めてインドを放浪、新しい村づくりに一から取り組み、その途上で失意のうちに帰国。しかしすぐにタイにわたり政府人道派遣の一員としてカンボジア難民キャンプで活動。医療支援のコーデュネーターを務めながら、戦争の実態にも向き合う。
1980年代以降は、富士山麓で家畜を飼い動物農場を営み、さらには日本で初めての自然学校を開校。自然との共生、冒険好きの子どもたちを育てながらビジネスとしても成功し、日本の自然学校やエコツーリズムの先駆者となる。
本書は、この25年余りの年月のなかで広瀬氏が本当に自らが体験したことだけが書かれています。それは、部屋から一歩も出なくても世界のすべてを知ることができるように思える現代とはまったく違う経験です。世界を知るだけでなく、自分を知るためにも自分の体を動かさなければならない、と信じる著者による本書は、いまを生きる人、とくにこれから世界で活躍しようという若い人たちにぜひ読んでいただきたい体験記です。
著者によるイラストや当時の写真もふんだんに掲載されていて、それだけでも楽しく、価値のある本です。
「まえがき」からの引用:
わたしが過ごしたアジアの日々や富士山麓の動物たちとの日々は、現代から見るとかなりレアな物語だろう。一人の何の特技もない若者が身につけてきた行動原理は、モノやテクノロジーによって擬似的な世界に覆われた現代では実行するのも難しい。でも、わたし以前の時代に生きた人々にはむしろ、当たり前の生き方だし暮らし方だった。そう、世界のあらゆるコト、モノとの出会いが生身の体験でしか得られなかった時代のことだ。
だからこそ、今の時代に生きる若い人々に本書を読んでもらいたい。便利な世の中が実はどれほど、自分の自由を奪っているのか、を知るために。
本書は、電子書籍として出版された『アッパーの動物記第1部 家畜と呼ばれた愛すべき仲間たち』(2013年)、『アッパーの動物記第2部 動物農場ってなんだ』(2014年)、『アッパーの生き方・暮らし方 アジア奮闘記』(2016年)を加筆、再構成し紙版の本として刊行したものです。
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