特集:拘束
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身体拘束が話題となっている。拘束中の死亡事故が訴訟になっている一方で、転倒によって生じた外傷が拘束しなかったことによるものであるとして、家族等から病院を訴えた裁判もある。
病院の側からすると、拘束してもしなくても責任が問われるという状況が生まれている。精神病床で拘束が急増している背景には、特に強制入院を中心とした精神科救急医療の浸透、認知症を中心とした高齢者入院の増加、身体合併症に対する治療などがあるだろう。
例えば高齢者施設では拘束が制限されていることから、「拘束が必要なら病院へ」という流れがある。身体科病院でも拘束はあるが、それが忌避されると精神科に転院・転科となることがあり、身体合併症の問題と関連してくる。また、拘束に対する医療者の意識の空白化があるのかもしれない。
拘束は精神保健福祉法で認められているが、もちろん無制限に行ってよいわけではない。本人の苦痛や、人権問題との観点も重要であるが、致死的なものも含む種々のリスクを生むことも知られている。技術としての精度を上げる努力という視点も、たしかにあり得る。しかし、そうした視点は拘束それ自体の問題性を見えにくくしてしまうだろう。
また、薬物療法が「化学的拘束」であるという批判がある。本質のところでは否定し得ないが、一方で、薬物療法なしでは精神病の治療はもちろん、周辺症状を伴う認知症高齢者のケアも考えられないのが実情である。この現実に立脚しながら、今回の特集では、拘束についていろいろな側面から切り込み、問題を浮き彫りにしたい。
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