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人間の差異は出自によるのか、文化によるのか。生来的で変更不可能な「人種」の名のもとに権力が行使され、支配や排除が合理化される人種主義。本書は、人種主義の歴史を簡明に描きだした記念碑的著作である。
古代社会には自民族中心主義や外国人嫌悪はあっても、「人種」という概念は存在しなかった。やがて中世キリスト教社会に「反ユダヤ主義」が、大航海時代以降には植民地政策に由来する「白人至上主義」が誕生し、人種主義が世界的に猛威をふるうようになる。これら二つの「人種主義」が、ナチスのホロコーストと、米国の奴隷制および南アフリカのアパルトヘイトに帰結するまでの歴史的・形態的な比較は、本書が初めての試みである。
21世紀、グローバル資本主義の進行が「人種の境界」を無化するとき、宗教や文化における「他者」が「人種」に置き換わるのだろうか。アイデンティティの喪失に怯え、あるいはその獲得に躍起になる人びとの狂信が政治化する危険性など、人種をめぐる今後を見通す。
巻末に「訳者解説 日本の人種主義を見すえて」を付した。
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