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シンプルで機能的な家具や日用品、そして色鮮やかなテキスタイル。いわゆる「北欧インテリア」の起源は、スウェーデンにあるといわれている。こうした北欧デザインが、日本を含む世界の市場で得ている人気は絶大だ。他方で、スウェーデンがつくりあげてきた高度な福祉国家体制も、長らく注目の的となってきた。スウェーデンに暮らす人々の標準的なライフスタイルを好意的に紹介する言説も、各種メディアにあふれている。
公正で平等な社会を築き、誰もが安定した快適な暮らしを営めるようにすることは、多くの人々の願いであり、それをつくりあげてきたとされるスウェーデンに羨望のまなざしが向けられるのは不思議なことではない。そして、暮らしの舞台を彩るインテリアを販売するイケアが、「豊かな福祉国家スウェーデン」のイメージを前面に掲げてきたことも、ビジネスのうえではきわめて有効な戦略だったといってよいだろう。
だが果たして、スウェーデンが世界の注目を集める福祉国家であるということは、住まいの文化やインテリア・デザインとどう関係しているのだろうか。スウェーデンの近代デザインが市場で支持されていることと、スウェーデンが福祉国家をつくりあげてきたことの間には、どのようなつながりがあるのだろうか。
実のところ、国際的評価の高いスウェーデン・デザインが生まれたのは、スウェーデンで社会民主党が政権に就き、福祉国家の形成に向けて歩みだそうとしていた、まさにその時期だった。福祉国家形成の背景には、デザインと住環境をめぐる運動があり、それらは人間形成の思想とも密接に結びついていたのである。本書は、そのときスウェーデン社会で何が起こっていたのか、人々の住まいと暮らしはそれによってどう変わったのかを、「住まいと人づくり」をめぐる文化史として描き出す試みである。(おおた・みゆき)
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