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<新たなる童話療法への統合> 蘭 香代子
童話療法における、童話作成は「自分という子どもに向けたお話」でありながら、「簡潔な問題解決にいたるシミュレーションである」ことが分かってきました。つまり童話に内在する起承転結は、そのままストレスコーピングの見取り図としても有効なのです。クライエントは、物語がより充実するように、斬新な表現を試みたり、場面場面の適応を試みたり、背景や脇役を変えて新たな環境や対人交流を表現したりします。中間領域を楽しみ、同質の原理や介入を体験することで、新しい創作となり、童話作成は自己再生の表現療法として機能するのです。
「童話療法は難しい」という声を聞きますが、それは童話がもつ複合的な視点と多元な価値を整理することが難しいからです。しかし表現療法としての童話療法は作成自体の行為のなかに、大きな自己治癒力を発揮します。童話を表現し楽しむだけでイメージを自立させる力を持っています。驚き、感動、洞察が自己治癒力を育て、心理的な成長をもたらすのです。
童話作成による表現療法は、向かい合うクライエントの状態を汲んで、無意識からアプローチを試みることのできる貴重な心理療法なのです。複合的だからこそ、セラピストに新しい気づきや驚きをもたらします。今回、童話療法のこれまでの歩みを総括し、この療法の発展と研究に携わって来た方々の新たな知見を『童話療法の展開』としてまとめることで、童話療法は新たなるターニング・ポイントを迎えます。
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