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星を見るまなざしの美しさと険しさ
『夫・車谷長吉』で今年度講談社エッセイ賞を受賞した詩人が、好評既刊『水のなまえ』に引き続き書き下ろした、星を巡る芳醇な香りに満ちあふれたエッセイ集。
「星々が美しいとしたら、どんなふうに美しいのか、どんなふうに語りかけてくるのか。それらとどのように付き合ってきたのか。どのように共鳴して心の弦を鳴らしたか。どんな劇に出会ったか」――
著者は古典から現代まで、詩歌から民俗学や旅に至るまで、星にまつわる多種多様なテーマを自在に逍遥し、さすがにどれも豊かな読後感が残って心地よい。
例えば「すばる」。清少納言のお気に入りで、「枕草子」の一節「星はすばる。彦星。夕づつ。よばひ星すこしをかし……」はよく知られているが、星の記述はこの一節だけ。そこから清少納言の思いを探ろうとする。
また小林一茶が自分を「我星」とよび、星に投影する姿を「我星はどこに旅寝や天の川」などの句例をあげて見てとろうとする。もちろん著者のお得意、北原白秋、室生犀星、堀口大學らの詩人が向き合った星への言葉も心に残る。
星について、思わず人に語ってしまいたくなる一冊だ。
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