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泳いでいるとき、由羽来(ゆうら)の頭の中には音楽が流れている。泳いでいる苦しさを忘れるため。そして、本当は音楽をやりたい自分を消してしまうため――。夢に破れて暴力を振るう父と、家族への気持ちを言葉にしようとしない母。由羽来の心に交響曲「新世界より」が流れるとき、彼女の世界は変わるだろうか。水の中にいるみたいに息が苦しいと感じている人に伝えたい。きっと「新しい世界」は、すぐそばにあるんだって――。
【第58回講談社児童文学新人賞佳作入選作】
泳いでいるとき、由羽来(ゆうら)の頭の中には、音楽が流れている。それは、泳いでいる苦しさを忘れるため。そして、本当は音楽をやりたい自分を消してしまうため――。
「世界に一着しかない服を作ろう」とアトリエを開いたはずの父は、親戚に借金までして強制的に由羽来に水泳を習わせ、そして母に暴力を振るうようになった。その母は、家族への気持ちを言葉にしようとしない。そんな両親のいる家で、由羽来も家族をあきらめている。
父に命じられるままスイミングクラブで泳ぐ由羽来の心に、ドボルザークの交響曲「新世界より」が響くとき、彼女の世界は変わるのだろうか――。
最後の一行まで小六の少女に寄り添って描かれた、切なくも優しい児童文学の誕生。
水の中にいるみたいに、息が苦しいって感じているみんなに伝えたい。
きっと「新しい世界」は、すぐそばにあるんだって――。 【対象:小学上級以上】
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