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〈歓待〉をめぐる新たな寓話
「それが自分であってもおかしくない困難に置かれたひとびとを、僕たちは歓びとともに迎えることができるでしょうか」――『九年前の祈り』の芥川賞作家・小野正嗣が初めて挑む注目の書き下ろし戯曲『ヨロコビ・ムカエル?』は、彼のふるさと・大分を経めぐっての体験から生まれた真摯な問いから誕生した。
美しい少女ヨロコビと、車椅子の老夫婦オジイとオバアの謎のトリオが、とある村にやってくる。村の大人も子供も、彼らを前に戸惑うばかり。もうすぐ村に「聖なる神輿」の行列が訪れるというのに……。
村の知識人たるシェンシェイほか、ヨロコビ以外のすべての者らの〈分身〉たちも乱入し、笑い、泣き、叫び、踊る、果てしなき饗宴がはじまる。そんな怒濤の物語の行方は?
今年10月「第33回国民文化祭・おおいた2018」「第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」のオープニングを飾る作品として、300人の県民によって上演される戯曲『ヨロコビ・ムカエル?』に、本作を成立させた世界/文学/故郷をめぐる深い省察を記す、著者自身による名エッセイ「ふるさとの『歓待』」を併録。歓びを待つひとびとのために必読の一冊である。
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