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もうすぐ死んでしまう兄が、
火を焚いてくれている。
この世での兄弟の最後の愛の証のように一心に
火を焚いてくれている。
――本書より
「詩は愛しい死者達との融通無碍の通路になった」。詩人・山尾三省の妹による追憶の歌。
家族の時間、日々の情景をみずみずしい筆致で描いた著者の代表作を、増補新版として復刊。
花崎皋平(哲学者)、嵩文彦(詩人)、宮内勝典(作家)の解説を付す。(発行=野草社)
「宮沢賢治の「永訣の朝」は、死にゆく妹への慟哭であった。そして、この『睡蓮』に鳴りひびいているのは、死にゆく兄への慟哭である」(解説・宮内勝典「おなり神の歌」より)。
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