1929ー1965
夢の跡に残された現代
ヴィクトリア朝末期に大英帝国の中心と辺境でそれぞれ生を受けたガンディーとチャーチル。一方は非暴力不服従運動の「マハートマ」(偉大な魂)として祈る姿、他方は第二次世界大戦でヒトラーを打ち破った「Vサイン」で印象深い。
生まれも育ちも異なる二人は、運命に引き寄せられるように、その人生で何度もすれ違い、また一度だけ直接出会ったこともあった。
シパーヒーの叛乱から世界恐慌までを扱った上巻に続き、下巻では塩の行進から第二次世界大戦、そして戦後の二人の死までが描かれる。
とりわけ躍動するのは、インド独立を目指した志士たちの姿である。不可触民の権利を守ろうと、ガンディーと戦ったアンベードカル。ファシズムの力を利用しようとして散ったスバース・チャンドラ・ボース。ソ連型社会主義に活路を見出そうとしたネルー。イスラーム国家を目指したジンナー。独立はいつしか叶わぬ夢となった。
他方、ヒトラーの欧州掌握を助けた宥和政策の起源が、大英帝国のインド統治にあったという史観は鮮やかだ。そして、インド独立を終始否定し、ヒトラーと対峙したのがチャーチルだった。ピュリツァー賞最終候補作。
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