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幼い頃から飛行機に憧れていた祐則少年は、予科練に志願して少年飛行兵になった。故郷を離れ、訓練にあけくれる毎日。まんがが得意だった彼はそのようすを、特攻で亡くなる直前までの2年半の間、たびたび絵にして家族へ書き送った。ハンモックでとびおきる毎朝の慌ただしさ、ついウトウトしてしまう午後の授業、相撲大会で優勝したこと、カッターで海に漕ぎ出した日のこと、そして、大空を飛ぶよろこび。持ち前の明るさとユーモアをもって描かれたそれらの楽しげな絵手紙は、当時の兵隊たちの日常と青春をいきいきと今に伝える。と同時に、戦争が激化するにつれ、少年兵の育成期間がどんどん短縮され、実戦経験のない若者たちが次々に前線へ送られていく状況がリアルに感じとれる、貴重なドキュメントでもある。解説は『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した稲泉連。遺族へのインタビューをもとに、山崎祐則という一人の少年の、かけがえのない人生を浮かびあがらせる。224ページ、オールカラー。
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