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朱墨識別は一目瞭然、原本を机上に置くがごとくに精査可能。各頁の脚注として、正宗敦夫編『類聚名義抄』の本文番号を記載、同書「索引」からの検索が利便に。
【国宝】『類聚名義抄 観智院本』
平安時代末期に編集された、漢字・漢語を篇目により類聚した音訓漢和辞典で、編者は未詳。標出漢字は約3万2千語、和訓は約3万4千語、朱筆で付された声点(アクセント記号)も約一万語におよぶ大辞典で、その膨大な量の和訓は平安時代における訓読語彙の実態を知る最大の資料である。現存諸本には原撰本・改編本の二種があり、原撰本は院政期頃、法相宗関係の僧侶が撰したとされる。
所収本は改編本に属し、鎌倉時代末期の書写と考えられ、撰者は真言宗の学僧といわれる。現存する唯一の完本で、国宝に指定されている。東寺観智院旧蔵、江戸時代末期に伴信友の紹介により初めて世に知られた。
本書の篇目に「朱音者正音也。墨声者和音也。片仮名有朱點者皆有證據亦有師説。無點者雑々書中随見得注付之」とあり、朱墨訓点各々の使い分けを明示している。朱・墨の別が辞書機能の一部をになう本書において、カラー版はもっとも望まれた複製である。
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