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フランスの映画監督アラン・レネが1955年に発表した30分余りの短編ドキュメンタリー映画『夜と霧』。その後『二十四時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』(1959)『去年マリエンバートで』(1960)を世に送ったこの映画作家の意図にかかわらず、ナチスによる強制(絶滅)収容所の実態をはじめて映像化した『夜と霧』は、ホロコーストをめぐる戦後の世界各国の政治的・社会的思惑との関係で、さまざまな波紋を呼んだ。
映画誕生の経緯、1956年カンヌ映画祭への正式出品を在仏ドイツ大使館の抗議で外されたことに始まり、フランス(ナチスへの協力をしめす映像を修正)、ドイツ(紆余曲折をへて、教育映画として青少年はじめほとんどの国民がみる。ドイツ語訳はパウル・ツェラン)、イスラエル(ユダヤ人の観点が無視されているとして上映禁止)、イギリス、オランダ、アメリカでの受容をめぐる詳細な物語と考察は、一本の映画が戦後史に大きな影響を及ぼした比類なき例証となっている。『アンネの日記』『ショア』『シンドラーのリスト』など数々の映画との比較もしながら、ホロコーストを記憶にとどめておくために、やはり最後に残るのは『夜と霧』だ、という執筆者たちの思いは、印象的である。巻末に「編集部付記――日本における映画『夜と霧』の受容について」を付した。
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