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圏,関手,自然変換などは1940年代に導入された比較的新しい概念である。しかし今では,数学だけでなく,計算機科学や理論物理学などさまざまな分野の背後にある共通の構造が圏論によって明らかにされてきている。
近年,量子計算機の開発が実用化に向けて加速してきているが,量子計算機におけるプログラムは古典的な計算機のプログラムとは異なる計算モデルに基づく。そのため,これまで古典的な計算機で使われてきたソフトウェアの正当性検証手法をそのまま使うわけにはいかない。本書の冒頭でも述べられているように,プログラムの正当性を保証できなければ,重要な仕事に量子計算機を使おうとするものはいないだろう。直感に反する振る舞いが生じる量子的状況における確固たる基礎を構築するためには数学の力が必要になる。本書は,圏論という道具を使うことによって,直感に反する量子状態のさまざまな特徴がどの前提から生じるものであるのかを浮き彫りにしてくれる。
原著:Chris Heunen. Categorical quantum models and logics (Pallas Publications - Amsterdam University Press, 2009)
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