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この夏の課題は、民俗学の巨人・南方熊楠の『十二支考』!?
干支にちなむ神々に守られた街なのに、なぜ「丑」の方角にだけ神社がないのか?
おんぼろ研究室を飛び出した〈教授〉の純粋推理!
「ネズミの靴も忘れないで持って来てよ」
教授然とした風貌を持つ非常勤講師・矢上〈教授〉は、理系学部で日本古典文学を教える変わり種にして、筋金入りのミステリ愛好家。その教え子の女子大生・御牧咲は、〈教授〉から出された夏休みのレポートの課題にこぶし野町を選んだ。この町は、十二支にちなむ神々に各方角を守られているのに、なぜか「丑」の方角だけ神社がない。そしてなぜか、南方熊楠の民俗学随筆集『十二支考』にも「丑」の章だけがないのだ。何か理由があるのか? 勇躍フィールドワークに出た咲は、降り立ったこぶし野駅で、さっそく〝ネズミ〟に纏わる不思議な会話を耳にするが……
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