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芸術史のコペルニクス的転回。事物に従って生み出される、事物による事物の歴史。人のつくったすべての事物を芸術として扱うことで出現する単線的でも連続的でもなく、持続する様々な時のかたち。先史以前/以後の区分を廃棄。革命的書物、宿願の初邦訳。──岡﨑乾二郎
形として美術をとらえるというこのもうひとつの定義は、もはや流行遅れとされている。しかし誰でも少し考えさえすれば、いかなる意味も形を持たなければ伝わらないということに思い至るだろう。どのような意味も、それを支えてくれたり運んでくれたり包んでくれたりするものを必要としている。それらは意味の運搬者であり、それらがなければ意味は私からあなたへ、あなたから私へ、あるいは自然界の一部から別の部分へとは伝わらない。
(中略)
あらゆる芸術の形の構造にも、似たような秩序があるにちがいない。しかしそこに象徴性の強い作品群が現れれば、その系統のなかでの形の規則的な進化に干渉し、混乱を生じさせることになるだろう。視覚的なイメージによる干渉はほとんどすべての芸術に存在している。このことは建築にも当てはまる。一般に建築は、イメージを表現しようとする意図を欠いていると思われているが、ある表現が次の表現へと導かれるときには、それが大昔のものであれ最近のものであれ、過去の名建築のイメージを典拠としているのである。
本書の目的は、シリーズやシークエンスのなかで持続する形態学的問題に注意を向けることにある。これらの問題は意味やイメージとは独立して生じる。これは、研究者たちが「単なるフォルマリスム」に背を向け、複雑にからみ合った象徴の歴史学的復元に向かって以来、四〇年以上にわたって誰も手をつけなかった問題なのである。──本書より(原書1962年刊行)
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